海老原の論理思考講師Blog

海老原一司Blog -論理思考講師×プロジェクトファシリテーター

【日常で論理思考】個性を出すってどういうこと?

ふと違和感を感じたことがありました。
何で読んだか忘れましたが、就職活動において、「人と違う服(スーツ)を着る。それによって個性を出すべき」
といった論調の話でした。

ここでいう「個性」とは、「その人の個性」のことでしょう。
「個性的な服」とかいう話とは、違います。

みんながまったく同じリクルートスーツを着ていても、にじみ出てくるようなもの、それが「その人の個性」ではないでしょうか?

 

一方、「見た目」とかわかりやすい要素で、判断してしまうのも人の習性。
受け手としても、そういった表面的な部分で惑わされず、その人の本質を見ようとする姿勢が求められるのかもしれませんね。

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【使える学習理論:スモールステップの原理】すごいコーチのアドバイスとは

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すごいコーチのアドバイスとは


1.すごいテニスコーチのアドバイスをみた

大学時代は、大学院も含めて6年間は、テニスサークルやテニススクールで毎週2,3回はテニスをしていました。

最後の2年は、テニススクールでアシスタントコーチもしていました。そのとき、トップクラスのテニスコーチのすごいアドバイスをみたのです。

1-1.300人にテニスのアドバイスをした

テニススクールでアシスタントコーチをしていましたが、他に大学のテニスサークルでも教えまくっていました。
ほぼ、すべての人に教えていました。私がアドバイスをした人は、トールで300人ぐらいになるはずです。

これだけ教えていると、「うまくいくアドバイス」と「うまくいかないアドバイス」が
あることに気づきました。
もちろん、間違ったことを教えるのは論外ですが、単に「正しいこと」をいうだけでは
十分でないことに気づきました。

 

1-2.アドバイスがうまくいくとき/いかないとき

テニス雑誌を読みまくった(年30冊ぐらい?)私はみんなにアドバイスをしてきました。
そして気づいたのは、同じアドバイスをしても効果がある人とない人がいる。
つまり(当たり前ですが)「人によって最適なアドバイスは異なる」わけです。
#もちろん、最大公約数的なアドバイスはあります。

ある程度、効果的なアドバイスができるようになって、次に引っかかったのが「教えすぎ」ということ。
はじめのうちは、アドバイスは多いほどよいと思っていました。
しかし、テニスで1球1球を打つ時間はたかだか数秒。
その間に意識できるアドバイスはせいぜい2つまで。できれば1つ。
1つのショットで、3つ以上教えれば相手は混乱してしまいます。


1-3.すごいコーチはアドバイスを厳選する

比較的たくさんの本職のスクールコーチを観察する機会に恵まれた私は
よいコーチはどんな教え方をしているかを観察してみました。

それでわかったのは、以下のことでした。

  1. 『普通のコーチ』は、みんなに「共通」の最大公約数的アドバイスをする。
  2. 『すごいコーチ』は(共通のアドバイスもするが)、その人にあった「個別の」 アドバイスをする
  3. 『すごいコーチ』は、「個人ごとにその人が劇的に変わるごく少数のポイント」 についてアドバイスをする

 

先に書いたように特にテニスのような運動系では、一度にたくさんのアドバイスは禁物。
1度にたくさんいわれても、「理解」できても「実行」できないし、ましてや
「身につく」までには、同じことを何度も繰り返す必要があります。


すごいコーチは、少数のアドバイスをして、それをできるまで繰り返させるわけです。
そして、身についてから、次のステップのアドバイスをする。

 

すると、直したいことが、たくさん目に付いても、そのうちいくつかを選ばなければいけません。
すごいコーチは、この教えるべきポイントの厳選がすごい。


(その人の発展段階等にもよるが)人は「このポイントが改善されれば全体がぐっとよくなる」というポイントをいくつか持っています。
私も、教わる方/教える方の双方で何度か経験がありますが、テニスの場合それができれば、1日で素人がみてもあきらかにプレーの質が変わって見えるほど変化する場合もあります。

 

 

 

2.スモールステップの原理ですごいアドバイス

2-1.スモールステップの原理

スモールステップの原理の基本思想は、「学習内容を小さな単位(スモールステップ)に分割して、小刻みに一つ一つ段階を踏んで教えたほうが、教育効果が高い」というものです。

参考に、ウィキペディアからの抜粋を記載します。

スモールステップの原理(ウィキペディアより)
難しい内容を学習させる場合、学習内容を小さな単位に分割し、易しい内容から少しずつ小刻みに難しくしていくべきとする考え方。学習促進には、誤反応より正反応を起こさせることが重要で、動機づけを低下させる誤反応は、なるべく少なくする。

 



 

2-2.すごいコーチの条件

すごいコーチの条件は必要なことは、以下のことではないかと思います。

1)生徒ごとにその人のもっとも大事な変化点を見つけてあげること
2)そして、それが改善できるよう、できるまで繰り返しやらせること
  (そのためには、ポイントが少なくてはならない)

また、付け加えるなら、

3)相手が実行しやすい方法を考えてあげる

のも重要な点だと思っています。
(たとえば、「スイングが小さい」のが弱点の生徒がいたときに「大きく振って」では
だめで、「アウトするように打ってみて」のアドバイスで成功したことがあった)

 

2-3.スモールステップの原理をビジネス教育へ


最近思っているのは、これはテニス以外、いや運動以外でも教育系全般に使える考え方ではないかと思っています。
特に、知識系よりベーシックな仕事の仕方や思考力において。


仕事などで、単にその場で注意を与えるだけで、勝手に伸びていく優秀な方もいます。
しかし、それはごく少数の人々。
大抵の人は同じような失敗を何度も何度もしてしまいます。

その原因を個別に解析した上で、改善方法をパッケージ化してあげて、できるまで何度も繰り返してあげる。
それで、やっと身につくことができるのではないか、と感じています。

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【子育てに学ぶ学習理論】赤ちゃんの泣き方と対処方法を考える

生まれて間もない子供のいる家庭で、「泣くことにどう対処するか?」というのは、最大の関心事の一つです。

生後1.5ヶ月の娘を、ここ2週間は週末だけ世話してますが、ちょっと考察が進んだので、自分の研究成果をまとめます。

(2011年に書いた記事です)

なお、本考察は、本などで仕入れた知識を総動員しているものの、ほぼ独自解釈であること。まだ、うちの生後1.5ヶ月の娘以外の他の子では試していないことを付け加えておきます。

★赤ちゃんの泣き方2分類


まず、「泣くこと」は、大きく2つの分類がありそうです。
1つは、直接原因のある泣き、もう1つは、直接原因のない泣きです。

◆直接原因のある泣き


生まれてから数ヶ月までの赤ちゃんにおいて、泣く原因は基本「不快」以外にはありません。
※かまってほしいから泣く、とかはまだできない。

また「不快」の原因は、かなり絞られてきます。
病気・怪我などの特殊要因を除くと、定常的には
 1)お腹すいた
 2)眠い
 3)おむつが気持ち悪い
 4)排泄/おならしたい
 5)びっくりした
この辺でしょうか。

●1)「お腹すいた」はかなりわかりやすい。対応すべき時間も結構読めるので、一番対処しやすい原因です。
なお、この際「泣くのが当然」と思われていますが、あとで書く「エレベータの動き」をすれば結構泣き止みます。私の場合は、授乳前も一旦泣き止ませてから奥さんにパスしてます。

●2)「眠い」は、頭では理解はし易いですが、判別は難しい。ここは、私の場合は、まだ修行が必要です。
対処としては、これ単体で対処するというより、他の原因をきちんと対処すれば、自然と眠ってくれるようです。

●3)「おむつが気持ち悪い」は、よく言われる原因の一つですが、実は意外と少ないことが分かって来ました。
最近の紙おむつの進化と新生児であることが原因と思いますが、今のところ、はっきりこれと分かる泣きはほとんど皆無です。

●4)「排泄/おならしたい」は、あまり世間の情報にはでてきませんが、(少なくともうちでは)意外とこれが多いことが分かってきました。
「排泄した」から泣くのではなく「排泄したい」から泣く。
今回、いくら落ち着かせても、またすぐ泣くからおかしいな~と思っていたら、オナラがしたかっただけ、ということが何度もありました(笑)
確か「定本育児の百科」に、「赤ちゃんは、泣くことによって排泄する」という記述があったので、不快を訴える以上の意味があるのかもしれません。

●子供を世話する人にとって最大の難所が5)「びっくりした」です。
何しろ赤ちゃんは、ちょっとしたことで、すぐびっくりします(笑)
生後2,3ヶ月までの大きなびっくり原因の一つが、モロー反射と言われる手足の動きですが、これは消失を待つしかないかな~。
5)の対処方法は、原因により様々ですが、もうちょっと研究したいと思います。

「びっくりする」というのは、頻発かつ読めないので、非常に対処しにくい泣きです。
しかし、1つだけ他の原因にない救いがあります。
それは、「びっくりし続けることはない」ということです。
「お腹が空き続ける」ことは、あっても「びっくりし続けることはない」これは対処にあたって大きなポイントです。

総じて、この「直接原因のある泣き」は「原因を取り除かなければ泣き止まない」ので、如何に原因を早く取り除いてあげるかが重要です。



◆直接原因のない泣き=惰性泣き


直接原因があるわけではなく、泣いているから泣く。
これを、勝手に「惰性泣き」と命名します。
泣き始めたときは、原因がはっきりしていたが、原因がなくなってもそのまま惰性で泣いてしまう。
#自分の小さいころを思い返せば、そういうことは結構あったような。。。(笑)

原因がどうだろうが、泣きは泣き、ですが、この2種類を分けておく意義は大きいと思っています。
つまり、惰性泣きの場合は、対処は、「原因を取り除くこと」ではなく、(そもそも原因がないので)「如何に早く気を紛らわせるか」ということに変わってくるからです。

特に、先の「びっくりして泣いている」だけの場合、早めに対処することによって、すぐ泣き止ませることができます。
惰性泣きは、ほおっておくと(特に原因もないのに)エスカレートする場合も多いので早めの対処が肝要です。

 

赤ちゃんを泣き止ませるには


◆最強の対処方法「エレベータの動き」

 

 

泣いた赤ちゃんに対して、最強の対処方法であり、すべての対処方法の原点だと思っているのが「エレベータの動き」です。
エレベータの動きというのは、「ホワイト博士の育児書」というアメリカの育児研究者が出している本に出ている赤ちゃんを大人しくさせる効果的な方法です。

やり方は簡単。赤ちゃんを抱っこして、膝をカクンとして、ピタっと止める。これだけです。
(赤ちゃんがエレベータに乗っているような感じ)
これをすると、うちの場合、授乳直前のお腹が空いているときも含めて、「ほっ」という感じの顔になり、ほぼ確実に泣き止みます。
原因がある場合は、取り除かなれば、一次対応に過ぎませんが、惰性泣きの場合、原因が弱い場合は非常に有効です。

泣いた場合、泣かないようにする対処方法は、抱っこする、抱っこして揺らす、ドライブに連れて行く、ゆりかご、などなど、たくさんありますが、基本的に原理はすべて同じだと考えるようになりました。
また、私の今までの実験結果(?)からは、横揺れではなく、縦揺れが重要なようです。


●エレベータの動き=リセット

 

いろいろ試してみた結果、私は「エレベータの動き(その他類似の動き)=リセット」であると考えるようになりました。
これは、揺らす=気持ちいい。とはちょっと異なる考え方です。
「気持ちいいから」という考え方だと、大泣きしていても、「エレベータの動き一発」で泣きやむ状況の説明が付きません。
この考え方は、特に惰性泣きの時に有効です。

抱っこについても、「抱っこが気持ちいいいから泣きやむ」ということは、ほとんどないと考えています。
私、奥さん、母含めて、本当に「抱っこだけ」で泣き止んだことは皆無です。
基本的に、落ち着くまでに、何かしら「リセット」の動きをしています。

よって、私は抱っこは、リセットするためである。と捉えてやっています。

抱っこは、人肌が温かいから寝るというのもないことはないですが、基本的には、リセットに一番適した体勢が抱っこであるだけであると。
気を紛らわせる、びくっとしたときに、素早く対処する。すべての不快点を取り去ってやれば、いつしか赤ちゃんは寝ると思っています。

 

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論理思考に必要なことは将棋が教えてくれた

◆将棋に、はまった子供時代

小学校から中学校にかけて、私は将棋にはまっていた時期がありました。

学校の休み時間はもちろん、家に帰っても将棋を指します。相手がいなければ、先手と後手、一人二役で指すことも。
おかげで、かなり上達し、小学校、中学校とも学校で一番強かったと思います。

将棋はある程度上達すると、先の手を読むことが重要になってきます。
自分がこうしたら、相手がこうする。それに対して、また自分はこうする・・
はじめのころは、まず自分、相手、自分で3手の読み。レベルが上がってくると、5手、7手、9手と読む手の数が増えていきます。

 

将棋で先を読む質と量は、将棋盤が頭の中で、どれだけ鮮明に想像できているか?に依存します。上級者は、頭の中で盤面をシミュレーションしています。


◆論理思考に必要なもの ~想像力~

 

海老原がロジカルシンキングで中級から上級になるために、必要と思っている能力(の一つ)が「想像力」です。

自分が動いただけで終わりであれば比較的簡単です。しかし、ビジネスでもプライベートでも、多くの物事は相手に説明/納得してもらって成り立ちます。
このとき、ロジカルシンキングを駆使するために重要なのは「想像力/イメージする力」だと思っています。

自分が、こう説明したら、相手はどう感じるか。
納得するか。いやいやながらも受け入れるか、はたまた、見た瞬間に拒否反応を示すか。
これらをいかに場面ごとに相手になりきって、想像できるか。画像やセリフが思い浮かぶほど、深くイメージ、シミュレーションできるか。

どれだけ、どれだけ相手の論理を想像できるか?(自分の論理ではない)いかに相手の立場に思いをはせられるか?が論理的説得成功の分かれ目になります。

海老原は論理思考研修で、メール添削をするときに、「●●さん(メールの受け手)が、このメールを開いたとき、どういう表情になりそうか。どんな言葉をいいそうか想像してください。」と受講者に伝えています。

意図がよくわからず「んっ?」という反応かもしれないですし、「えーっ?」と驚くかもしれませんし、あるいは「面倒くさいな~」と思うかもしれません。



◆ロジカルシンキングと将棋の共通点

想像力、イメージする力。
この辺りの能力は、10年以上のロジカルシンキング添削経験で、かなりあがりました。

しかし、よく思い出すと、私の想像力/イメージする力の原点は、将棋です。
3手ぐらいだと、まだ短期記憶の範囲内です。しかし、先を読む手が5手、7手先となってくると、頭の中に盤面を描き盤面上のコマをイメージの中だけでいかに自在に動かすことが必要です。
将棋の上級者になってくると、「目隠し将棋」といって、コマを見ずに頭の中だけで、最初から最後まで指すことが可能になります。海老原は、中学生のときに初心者相手であれば、将棋盤を一度も見ずに想像力だけで指すことができるようになりました。


ロジカルシンキングと将棋。
大人になって自分の中でつながってきました。
子供の頃、はまっていたのは無駄ではなかった。

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「BtoB営業・営業ヒアリング」掲載記事まとめ

 

『“本当の顧客数” が今の300倍いることに気づけてますか? 結果を残せない「ダメ営業マン」に欠けている3つのこと』STUDY HACER

STUDY HACKERに、海老原の書いた記事が引用されました。

 

studyhacker.net

このように、「欲しい」という感情は「現実と理想のギャップ」から生まれます。ですから営業を行う人は、客が抱えるギャップに気づき、それを埋められるような提案をしない限り、営業を成功させることはできないのです。

では、どうすれば客の「現実と理想のギャップ」に気づくことができるのでしょうか。マーケティングコンサルティングを手掛ける株式会社シナプスのチーフコンサルタントで、BtoBマーケティングのプロである海老原一司氏は、顧客が何を欲しているのか(ウォンツ)を知るだけでなく、どのような問題を解決したいと考えているのか(ニーズ)を把握することが重要だと言います。客の問題を知れば、その問題を解決する手段を複数提示することで、提案の選択肢を広げられるからです。

客の抱える問題を知るうえで有効な方法として海老原氏が勧めるのが、客に「なぜ」を問うこと。例えば以下のような具合です。

1.「A業務の効率化をしたい」「なぜ?」

2.「A業務の事務社員数を減らしたい」「なぜ?」

3.「減らした事務社員を営業職に転換させたい」「なぜ?」

4.「営業人数を増やして営業力を強化したい」潜在ニーズ

 

 

(2018/11/9掲載)

『70才まで稼ぐ力 』シリーズ ファイナンシャルアカデミー マネラボ

 

moneylab.f-academy.jp

 

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【書評】『ザ・会社改造』にみる三枝匡さんの「自論フレームワーク」

■「ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ」

三枝匡さんの『ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ』を再読。合計6回目。

三枝さんの3部作「戦略プロフェッショナル」「経営パワーの危機」「V字回復の経営」は、私のバイブル的存在。それぞれ10回は読んでいます。

ザ・会社改造は、これまでの3部作と大きく違うのは、最初から舞台がミスミであると明かしていること。短期決戦(他の作品は2、3年の短期決戦)ではなく、13年かけた「会社改造」ともいえる改革の連鎖の長期戦であることです。

●三枝さん3部作

戦略プロフェッショナル[増補改訂版]

戦略プロフェッショナル[増補改訂版]

 

 

経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

増補改訂版 V字回復の経営―2年で会社を変えられますか

増補改訂版 V字回復の経営―2年で会社を変えられますか

 

 

■「自論フレームワーク」はロジカルシンキングの帰納法

三枝さんの著書はどれも奥が深く「何度読んでも、読むたびに発見がある」という三枝ファンも多いようです。

私もいろいろ思い浮かびますが、1つだけあげるとすれば「自論フレームワーク」でしょう。

 

自論フレームワークとは、三枝さんの造語。何らかの理論、ルールを現場で使って自分のものにしたとき、「自論フレームワーク」と言います。

「フレームワーク」という言い方をしていますが、「3C」とか「SWOT」など、いわゆるフレームワークより、自論フレームワークは広く、あるいはゆるく捉えているのがポイント。

比較的感性で感じること「におう。くさい」。そして、「こういう会社にはよくこういう発言する人がいる」といったあまりフレームワークという言葉を使わない経験則まで「自論フレームワーク」とよんでいます。

 

 ■自論フレームワークをストックする

 

 ●海老原の「自論フレームワーク」

  • 「言ってもやらない」のは、多くの場合「やる気がないのではなく、できないから」。意識の問題ではなく、スキルの問題である。
  • 人が新しいやり方を覚えるときは、「できあがりの姿」の頭に鮮明なイメージが必要。 相手にイメージがない場合は、教える側は新しいやり方を教える前に、新しいやり方をした場合の「できあがりの姿」を見せなければいけない。スキルアップは、その後。

 

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【営業ヒアリング】商談成立とは、稟議書が通ること

1.営業ヒアリングでは、意志決定構造を把握

1-1.BtoBとBtoCの違いは、個人か組織か

BtoB営業とは、法人企業に対する営業です。BtoC顧客とBtoB顧客の違いは、BtoBは顧客が「組織」であること。

しかし、BtoBの買い手は会社という「組織」です。担当者1人1人は個人ですが、企業に所属している限り、購買行動には、所属している企業の組織構造、組織の論理が影響してきます。

 

よって、買い手である組織の意志決定構造(DMU)の把握が重要です。

 

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2.営業ヒアリングすべきは稟議書が通る方法

 

2-1.買い手の購買意志決定は、稟議承認で裏付けられる

購買意志決定するとき、顧客企業では何がおきているでしょう。非公式なプロセスは様々あれど、一般的には、企業公式な承認プロセスは稟議でしょう。企業組織において、稟議が通ること、稟議承認がおりること、が公式な意志決定証明です。

 

顧客担当者から、いくらよい返事をもらっても、顧客社内で稟議が通らないと売れたことになりません。

 

 

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【リケパパの子育て】『NHKスペシャル ブループラネット』をリケジョと観る


1.リケパパの子育て リケジョ育成

娘は、現在7才(2019年現在)。リケパパの海老原の影響で、「リケジョ」として、すくすく育っています。
先日、実家で私と娘で『NHKスペシャル ブループラネット』を観ました。
NHKスペシャル ブループラネットは、海をテーマにしたドキュメンタリー番組です。海中での幻想的な映像が光る番組ですが、リケジョとリケパパが一緒にみると、ひと味違います。

2.リケパパとリケジョが「NHKスペシャルブループラネット」を観ると

 

ジンベイザメとクジラ。世界一大きい魚はどっち?

NHKブループラットを一緒にみていると、ジンベイザメが出てきました。
 

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ジンベイザメ
【ナレーション】 「ジンベイザメは、『世界一大きな魚です』」
【リケジョ】 「えー、『世界一』じゃないでしょ」
【リケパパ】 「ブー、世界一です。」
【リケジョ】 「クジラの方が大きいでしょ」
 
 

 この会話の意味は、わかりますか?

世界一大きい動物は「シロナガスクジラ」。これは理科が好きな人なら、常識問題(多分)。なので、世界一はクジラだろうと。

しかし、ここで生物学の基本分類を考えないといけません。

 

ジンベイザメは魚類、シロナガスクジラは哺乳類

 

【リケジョ】 「クジラの方が大きいでしょ」
【リケパパ】 「うん。でも、世界一大きな『魚』だからね」
【リケジョ】 「あ、クジラは哺乳類だもんね」
【リケパパ】 「ピンポーン、正解」

 
そうそう、哺乳類と魚類の違いをわかっている。
世界一大きな動物といえば、シロナガスクジラ。世界一大きな魚といえば、ジンベイザメ。クジラは同じ動物でも哺乳類なので「魚」ではないのです。
 
ちょっとヒントをだしただけで即答でした。さすがのリケジョです。
 

3.リケパパの子育て-理系雑学 動物分類

動物の分類って?

動物が生物学的に、どのように分類されるかご存知ですか?
  • 動物=脊椎動物 + 無脊椎動物
  • 脊椎動物=魚類+は虫類+両生類+鳥類+哺乳類
 なんとなく知ってはいるが、うろ覚えの方が多いのではないでしょうか。
 
※参考:中学受験ナビ

リケパパはリケジョの好奇心を刺激する

 
私は、娘に細かい動物分類を教えたことは一度もありません。しかし、動物園で解説したり、自分で図鑑などを借りて読んでいるうちに、勝手に覚えていったようです。単に興味があるもの、面白いものは覚えていく。
 
「親が子供に与えられる最高のものは教育」という言葉があります。自分が興味を持って語ることで、子供もいろいろなものに興味を持つと良いなと思っています。
リケジョは、親が好奇心を刺激してあげることで作られます。
 
 
 

ブレグジット合意なき離脱騒動-論理思考で考えればもめるのは当然

■日常論理思考ーブレグジット考察『論理的帰結としての「合意なき離脱」』

ブレグジットで、イギリスとEUの交渉は、泥沼になってますね。

 

『合意なき離脱の可能性高まる』のニュースをみて(2019/03/30現在)、半年前に論理思考研修で、添削した「パートナー契約交渉のメール」を思い出しました。多分同じ構造です。

もちろん、どんなことでも国民の総意をとるというのは、元から難しい。ただし、ブレグジットの合意なき離脱騒動には、合意できない/合意しにくい論理的理由があると思います。

 

■ロジカルシンキング研修の一コマ:

●ロジカルシンキング研修題材『契約交渉メール』

以前論理思考研修で、受講者から題材として出た「パートナー契約交渉のメール」がありました。

パートナー契約交渉がうまく進まない。パートナーから色よい返事が来ない。私は、交渉の進め方に問題があると考えました。

交渉の論点は?

【海老原】「更新する契約書に、この条項をいれられるか?否か?の2択を聞いてますね。今の契約書に、この条項の『入れる/入れない』だけを論点にすると、交渉成立しないの、わかります?」
【Aさん】「えっ?おっしゃっている意味がわからないです」

 

交渉論点は「条項の有無」と「有りのときの条件」の2つ


【海老原】「この条項って、入る/入らないの0/1以外に、●●ヶ月って期間の条件が、パラメータとしてありますよね?」
【Aさん】「それは、あとで交渉する予定でした」
【海老原】「なるほど。でも、『入る/入らない』と『入る場合の期間条件』の2つの論点をセットで交渉しないと、進まないと思いますよ。
条件不確定でYesとはいえないですよね。特に今回、相手にはマイナスしかないので、この条項を入れたくない、というのが相手の基本スタンスと思います」

条件を含めた2つセットで論点にしないと合意できない

【海老原】「ところで、どんな返事が来ましたか?」
【Aさん】「『再度社内で検討します』とのこと。検討待ちです」

【海老原】「それは、『頑張りましたが、だめでした』という回答が濃厚そうですね。

『有無』と『有りのときの条件』はセットで、交渉しないと。相手は、合意できないと思います。」

【Aさん】「がーん、だから1週間返信ないのか・・」

 

 

●論理的帰結

★交渉は、0/1で考えるとまずい。主要な条件はセットで合意すべし

 

■交渉の論理とブレグジット交渉過程の失敗

  • 交渉では、関連する条件はセットで考えないと交渉が進まない
  • 0/1の2択で考えるだけではまずい。 交渉での「条件」とは、複数項目の組み合わせ
  • とすると、EU離脱有無だけ先に決めて、EU離脱条件を後から議論すれば、論理的帰結として当然もめる

 

 

 

【営業ヒアリング研修の一コマ】個人ニーズと組織ニーズを区別する

0.「お客様のニーズは明確です」は本当か?

私が講師をする営業研修では、実在のアカウント顧客を題材にした営業ヒアリング実践研修です。受講生のお題となる商談をその場で分析するので、講師としてはすごい集中力がいります。しかし、その分楽しいく講師自身のスキルアップにもなる研修です。
 
さて、研修で受講生の営業担当者がよくいうのが、「お客様のニーズは明確です」というセリフ。この言葉を聞いたら、たいてい私は疑ってかかることにしています。そう簡単に明確なニーズはわかることは、ほとんどありません。
 

1.営業ヒアリング研修の一コマ

ある企業での営業ヒアリング研修。Aさんは、経理部が使うサービスのリプレース提案をしていました。
ヒアリング相手は、お客様経理システム担当者です。
 
【Aさん】「お客様のニーズは明確」で、お客様が経理システムをうちのシステムに統一したい。と言っています。なぜなら、2種類のシステムがあって経理業務が煩雑だからです。

 【海老原】 【海老原】業務が煩雑であることは明確でも、なかなか導入されないんですね。システムを統一したいのは、その人だけかも。つまり個人ニーズかもしれません。経理業務に対する、顧客の組織構造はどうなっていますか?

【Aさん】○○ホテルと▼▼ホテルがあり運営は別々。経理部門は全社共通で2つの経理システムを使っています。

【海老原】ん? 2つの経理システムを使っているのは誰ですか?今提案している方は、お一人?

【Aさん】はい。担当者のBさんは、仕事が手一杯なので統一したいんです。

【海老原】素直に考えると、経理部には○○ホテル経理担当と▼▼ホテル経理担当の2人がいるはずですよね? 1人なんですか?兼務しているだけ?

【Aさん】あっ、今年経理部で辞めた人がいたそうです。

【海老原】もしかして、1人1ホテル担当制で元々は2人体制だった。しかし、辞めた人の補充がなく、Bさんは辞めた人の分も担当している。忙しいので、少しでも楽になりたい。ということではないですか?

【Aさん】そうかも・・、いや多分そうです。

【海老原】とすると、システム統一しても、担当者個人の残業が少し減る程度ですね。もっというと、経理担当者が一番望んでいるのは、「辞めた人の補充」では?

【Aさん】確かに・・ 

 

 

2.B営業ヒアリングでは組織ニーズと個人ニーズを区別する

  

2-1.顧客担当者の発言は、個人ニーズが多い

 
顧客担当者の発言(ウォンツ)だけで顧客ニーズをすべて理解した気になっていませんか?
お客様が実際に言っているので、顧客ニーズは明確と思いがちです。しかし、顧客の発言は、担当者の個人ニーズであることも多いのです。というより、「個人ニーズの方が多い」でしょう。
例えば、「自分が忙しい」「自分が業務が煩雑」などは、個人ニーズです。
 

2-2.営業ヒアリングで把握すべきは組織ニーズ

営業ヒアリングで、把握すべきは「個人ニーズ」か「組織ニーズ」か。あえて言い切れば企業組織である限り、必ず組織ニーズが優先されます。
個人個人の思惑は重要です。しかし、BtoB営業で優先されるべきは、企業組織としてのニーズです。企業全体、あるいは1部門の場合もあるでしょう。いずれにせよ、個人の集合体としての組織の意思決定が重要です。
 

2-3.稟議書システムが個人ニーズを制限する

企業購買では、組織ニーズを優先するための仕組みが存在します。それが稟議書システムです。
商談の過程では、様々な個人ニーズ、個人の思惑がでてくるでしょう。しかし、客観的組織ニーズに基づいたリターンを示さない限りは、購買稟議は通りません。そのため、BtoBでは必ず組織ニーズが優先されるのです。
 
 

 

【プロマネ論】プロジェクトには必ず終わりがある

1.プロマネ論:プロジェクトには必ず「終わり」がある

いくつかの企業で社内プロジェクトのパートタイムプロマネ、または、プロマネの支援(プロマネのプロマネ?)をしています。
 
最近、よく説明しているのが、
★「プロジェクトは、定義からして『終わり』がある」こと
終わり、期限があることを意識しないと、スタートからこける。特に、成果も定義も難しい、ふわっとしたプロジェクトのときは、致命的。
これ、初耳の人が多い。エンジニアをへて企画になった人だったら、この感覚あるののかな?
 

【Wikiのプロジェクト定義】

「プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」
 
 

カオスプロジェクトのプロマネ資質「意志決定力」と「想像力」

海老原です。
これまで、新規事業などで、カオスプロジェクトのプロジェクトマネジメントを多く経験してきました。
不確実性が高いカオスプロジェクトのプロジェクトマネジメントに必要な資質について考えます。
 
プロジェクトマネジメントスキルは様々です。しかし、高度なスキルが求められるカオスプロジェクトで必要で、かつ、大きく差が出るプロジェクトマネジメントの資質は「意志決定力」「想像力」だと思います。
 

1.不確実性の高いカオスプロジェクト

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カオス状態

1-1.20年のカオスプロジェクト経験

新規事業プロジェクト・マネジャー10年、コンサルタント5年などなど、社会人になって20年以上、常に「不確実性の高いカオスプロジェクトのプロジェクトマネジメント」ばかりやってきました。いわゆるVUCAなプロジェクトです。

1-2.カオスになるプロジェクトとは

カオスプロジェクトの多くは、「誰もやったことがないプロジェクト」です。世の中で初はもちろん、社内に経験者がいないプロジェクトは、カオスになります。
 
スケジュール作成は、プロジェクトマネジメントの基本です。しかし、誰もやったことがないので、妥当なスケジュールを作ることも難しい。また、プロジェクトの実現性判断や、想定プロジェクトリスクを洗い出すことも困難です。
 
経験者がいない未踏プロジェクトでは、いつ何がおこるかわからない、カオスな状況になります。最初のプロジェクト定義からして曖昧な場合が多いです。
 

2.カオスプロジェクトに必要な2つのプロマネ資質

 カオスプロジェクトのプロマネばかりやってきた経験から、カオスプロジェクトに必要なプロマネ資質が2つあります。それは「意志決定力」「想像力」です。

2-1.プロマネ資質その1ー意志決定力

意志決定ポイントは無数
プロジェクトは意志決定の連続。不確実性の高いプロジェクトでは、粒度の小さいところまで含めると数百から数千の意志決定があります。
 
プロジェクト全体で議論・合意すべき意志決定ポイントを絞れるか
このたくさんの意志決定を高い精度で高速にできるか。
逆にいうと、いかにプロジェクト全体で合意しなければいけないような少数の意志決定論点を選べるかが、プロマネの腕の見せ所です。
 
1,000個の意志決定があるなら、全部議論したらきりがありません。そのうち議論すべき数%=10~30個程度の重要な意志決定論点を選ぶ必要があります。
 
細かい意志決定を自信を持って、高速に判断できるか
1,000個の意志決定で、議論すべき数%=10~30個程度の重要な意志決定論点を選びます。それ以外の970~990個の意志決定は、プロジェクトマネジャーが自分自身の判断で行います。この細かいたくさんの意志決定を自信を持って、高速に判断できるかが、カオスプロジェクトのプロマネに求められます。

2-2.プロマネ資質その2ー想像力

意志決定力に加え、重要と思うのが「想像力」です。
ここでいう「想像力」は、クリエイティビティではありません。未来を予測する力、想定する力、といえば良いでしょうか。
例えば、「プロジェクトで何がおこるか?」「ボトルネックは何か?」「リスクは何があるか? そのうち最も起こりそうで、起こるとまずいものは何か? どう対策するか?」
カオスプロジェクトを回すには、プロマネには、抜きん出た想像力が必要です。
 

3.プロマネ資質「意志決定力」高めるには

3-1.プロジェクトオーナーとプロジェクト定義をしっかり握る 

自信を持ってプロジェクトの意志決定をするためには、何が必要でしょうか。メンバー理解も必要ですが、あえて1つに絞るなら「プロジェクトオーナーの目的に沿っていること」が必要です。

  • プロジェクトオーナーの目的・達成したいことが、明確にわかっている。
  • プロジェクトオーナーとプロジェクトの目的・アウトプット、スケジュールなどが、明確に握れている。

プロジェクトオーナーが上位目的として求めていることがわかれば、個々の意志決定は、「上位目的が実現できるか?」という基準で、いちいちオーナーに確認しなくても、意志決定できるはずです。

プロジェクトマネジャーが自信を持って、意志決定するには、「『絶対的に』正しい意志決定ができるか」はもちろん「『オーナーの目的に沿った』正しい意志決定ができるか」が重要です。

 

 

4.プロマネ資質「想像力」を高めるには

 4-1.まずは質より想像量

想像力を高めるには、身もふたもないことを言えば、とにかく何度も何度も想像することです。まずは量。ただ、想像する時のコツはあります。相手の立場に立つことです。
 

4-2.相手の立場にたてる想像力

プロジェクトメンバーやプロジェクト外のキーマンの立場に立って、プロジェクトをすすめる上で、どんな行動をとるか? その結果、誰がどう感じるか?を想像してきます。
  • プロジェクトメンバーは?
  • プロジェクトオーナーは?
  • プロジェクトを手伝ってくれる人は?

4-3.プロジェクトで変化を強いられる人を想像する

相手の立場に立つとき、特に注意すべき人は、「プロジェクトによって変化を強いられる人」です。

人は変化を嫌うものです。プロジェクトの結果が会社にとってよいものだとしても、自分が変化を強いられると抵抗勢力になってしまう。

経済合理とは異なる思惑にまで、意識を広げることが必要です。

 

 

4-4.想像力でカオスプロジェクトのリスクを早期発見する

特に私が重視しているのが、リスクを発見し対処することです。プロジェクトマネジャーは、リスクの発見と対処だけできて、計画通りにすすめることさえできれば合格だと思います。「リスク発見すること」「どのリスクに対処すべきか見極めること」に必要なのが想像力です。
 
カオスなプロジェクトでは、リスクを全部洗い出すのは無理です。しかし、リスクを許容範囲内に抑えないとプロジェクトは破綻します。プロジェクトを破綻させないため、プロマネは、想像力を最大限に発揮する必要があります。
 
 

【営業ヒアリング研修の一コマ】RFP(要求仕様書)渡されたら負け!?

1.営業ヒアリング研修の一コマ

 

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RFP(要求仕様書)を渡されたら
老原です。
「あなたは顧客からRFP(要求仕様書)や比較表を渡されたことがありますか?」
先日の営業ヒアリング研修講師での一コマです。私の行う営業ヒアリング研修の受講者は、研修題材として自分の担当顧客の商談を持ち込みます。
 
Aさんは、提案中のある商談を営業ヒアリング研修に持ち込みました。Aさん曰く「顧客窓口担当者の話をよく聞いて対応している」とのこと。しかし、私には、どうも顧客担当者の表面的な発言内容に流されていると感じました。
 
この商談は、下記のように顧客からRFP(要求依頼書)を渡されたようです。
  1. 顧客窓口担当者から自社商品の問い合わせがあった
  2. 顧客訪問し商品説明を行った。「検討します」とのこと
  3. 2日後にRFPがメールできた。1週間で比較表を埋めてほしいとのこと
 一見、問題ないように思えます。しかし、私は営業ヒアリングがうまくいっていない、と感じました。どういうことでしょうか?
 

2.RFP(要求仕様書)渡されたら負け!?

私は、なぜ、営業ヒアリングがうまくいっていないと感じたのでしょうか。営業ヒアリング研修で、Aさんと顧客窓口担当者とのやりとりをより具体的に教えてもらいました。

2-1.営業ヒアリング研修の一コマ-顧客からRFPを渡された負け 

 Aさん:今回の商談を持ち込んだ若手営業

Bさん:一緒に研修を受講したベテラン営業

 

【海老原】「『RFP渡された負け』って言葉、知ってますか?
【Aさん】「初耳です。」
【Bさん】「知っています。RFPの内容は、提案する営業担当者が主導して作るべき、という話しですよね。」
 
【海老原】「そのとおりです。RFPという体裁に限らず、最終的には顧客から営業に必ず提案依頼がきます。しかし、RFPを渡されるときは、営業担当者に提案依頼する要件が固まったときです。たいてい要件が固まる前に顧客企業内では、検討が始まっているはずです。RFPを渡されるより先に商談がはじまっているべきです。」
 
【Bさん】「えっ? 今の商談で、まさにRFPをもらっています。『負け』なんでしょうか?」
【海老原】「もちろん、必ず失注となるわけではありません。しかし、RFP作成過程に食い込めなかった時点で、後手に回っていることは確かです。RFPが出る前から商談している競合企業がいる可能性が高い。」
【Bさん】「そうなんですか。」

 

2-2.営業ヒアリング研修の一コマ-RFP(要求仕様書)の次に比較表作成依頼

  

【海老原】「顧客担当者は、RFPを何社かに出しているでしょう。その場合、次はRFPを元に『比較表』を作ることが多いですね。」
 
【Bさん】「えっ? 今『比較表』作らされています。」
【海老原】「比較表の項目は指定されていますか?比較項目が指定されている場合、次の2つのどちらかです。
  1. 相見積のための比較表。つまり値下げ交渉材料
  2. 顧客担当者が比較表を作ること自体をゴールとしている
 
 
【Bさん】「そういえば、『比較表作れと上司に言われた』そうです。」
【海老原】とすると、顧客担当者は、購買決定に特別意志を持っていないかもしれません。つまり、意志決定者は、あくまで上司。上司に言われ、手足として比較表を作っているだけですね。
 
【Bさん】比較表を埋めることしか考えていませんでした。カナヅチで打たれたような、感じです。

 

  3.RFP(要求仕様書)の裏で起こること

3-1.RFPの裏で顧客社内で何がおきているか

RFPを渡されたとき、顧客社内でなにか起きているかを、できるだけリアルに想像してみましょう。よくあるのが、以下のような流れです。

  1. 顧客上司から担当者に製品調査の依頼が来る
  2. 顧客窓口担当者は、5件程度、ネットで調べたり、資料請求する
  3. 顧客窓口担当者は1、2社に会う。資料説明をしてもらう
  4. 顧客上司へ中間報告すると、比較表作成を依頼される
  5. 顧客窓口担当者は、詳しい説明を受けた会社の資料を元に比較表原案作成。資料請求をした会社に比較表穴埋めを依頼する 
  6. 各社の情報を集め比較表完成。意思決定者である上司にわたす

 

3-2.担当者は上司命令でRFPの情報収集しているだけ

よくあるのが「主体は上司、部下である窓口担当者が上司命令で情報収集しているだけ」というパターンです。

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上司の指示で作業しているだけ

つまり、担当者と上司の意識が下記のように大きく異なります。

【担当者の意識】今回の商品選定に対する特段強い意志があるわけではない。上司命令をこなすこと、比較表を作ること自体がゴール。あとは上司の仕事

【上司の意識】実質的キーマン。商品選定に対する意思を持っている。自分の時間がないので、情報収集・取りまとめ作業は部下に依頼している。

  

この場合、比較表原案を作成する前でコンタクトがとれている企業が有利です。つまり基本要件を考える、課題定義をする段階でコンタクトをとり一緒に課題解決方針を考えている状態が理想です。

 

4.顧客窓口担当者が、比較表作成で考えること

比較表の項目が決まっており、比較表の穴埋めだけ依頼される場合があります。このとき顧客担当者の目的は「比較表作成自体がゴール」か「相見積で値下げさせるための材料づくり」の、どちらかです。

 4-1.上司に渡す比較表の体裁を整えたい

比較表を作る場合、社内説明上、最低3社は比較したいところ。本命は2社で、数合わせのために3社目、4社目に穴埋めだけ依頼することもあります。 

4-2.比較表を使って相見積もりで値下げ交渉したい

また、必要とする承認スペックが大体決まっていた場合、比較表上は同等になる商品を、2、3個相見積もりをとります。こうして、値下げ交渉に使うのが、購入側の常套手段です。   

典型的には、「比較表を使ってスペックが要件にあう企業を2,3社に絞る」「残った2,3社にさらに相見積もりをして値下げ競争をさせる」ことになります。

 

5.ソリューション営業は顧客RFPを作る

5-1.ソリューション営業の理想

RFPや比較表を顧客から出されたら負け。では、どうするか。ソリューション営業の理想は、顧客と一緒にRFPを作ることです。顧客社内の課題を整理し解決方針を考え、一緒に要件定義を作ります。この要件定義が、そのままRFPになります。

 

5-2.RFP前に真っ先に相談される存在になる

RFPを顧客と一緒に作る状態を作るにはどうしたらよいか。まずは、定期的にコンタクトをとって、思い出してもらう存在になることです。次に、相手の相談に乗ること、そのときに相手にとって価値のある情報提供をしてあげることです。

顧客社内で最初に課題があがったときに、いきなり何社も営業を呼ぶ人間はいません。最初は、まず相談しやすい人、相談に答えてくれそうな人にコンタクトします。顧客キーマンの頭のなかで、真っ先に相談したい人として思い浮かべてもらえるか、が勝負になります。

 

 

project-facilitator.com

 

【リケパパの子育て学習理論】理系思考の原点『数える力』を鍛える

1.数える力 -彼女がやり残したのは「椅子を数えること」

彼女が何をしているかわかるでしょうか?

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海老原「もう帰るよ」

娘「最後に、椅子数えていい?」

海老原「え、いいよ。」

 


というわけで、正解は「ホールの椅子の数を数えている」でした。

(ちなみに、128個だった)

2.リケパパの子育て学習理論 -理系思考の原点は『数える力』

実は「正しく数えられること」は彼女が2歳の頃から仕込んできました。彼女は足し算ができます。でも「3+4は?」といったら指で7まで1個1個数えます。

 

多くの人は大人途中で数字嫌いになります。私はこの最大の分かれ目を、数字やその計算を「単なる記号」として認識するか、「頭の中に映像的イメージを持って認識できるか」の差だと仮説を持っています。「数えること」すり込まれた彼女は、常に数字をリアルなモノとして映像的にとらえます。

 

3.「数える力」を鍛えれば理系思考が身につくか? 4年目

今6歳。4年はやらせているわけですね。
「数えるのがうまい」だけでは、リケ女になれたか、なかなか証明にならないですね。
 

●4年もやると無意識に数えるようになる

普通、「あそこに車が置いてあったよ」というところを、「あそこに、車が2台あったよ」と、言って来たりします。
一般名詞の「車」 a carではなく、具体的なもの two cars = 2台の車 と、認識しているようです。
 
さて、小学生になると、どのように成長していくのでしょうか。

【書評】『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 』USJ再建の立役者森岡さん

 

1.実践マーケター森岡さんのUSJ再建奮闘記

 

1-1.もはや神の領域のマーケター森岡さん

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』は、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の再建に貢献した凄腕マーケター森岡さんの本です。
森岡さんはUSJで、当たり外れのブレが、かなり大きいと思われるテーマパークのイベントやコースター改良などのマーケティング施策を、9割以上の確率でヒットを飛ばしたとのこと。もう神の領域です。

 

1-2.後書きがしびれる。この本自体がUSJのマーケティング施策だった

そして、文庫版だけにある後書きがしびれます。


『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 』は、企業再生物語、マーケター奮闘記という色合いが強い本です。

本書の中で繰り返し出てくるのが、再建中の会社もかかわらず、USJ年間売上の半分という巨額設備投資を突っ込んだ「ハリーポーターのアトラクション」の話です。
ヒットを確信したハリーポッターのアトラクション完成まで2年強あります。ハリーポッター設備投資に回すため2年間は、ろくにアトラクションへの投資もできない。どうやって金のない中ヒットイベントを飛ばし続けるかという森岡さんの奮闘記なわけです。

そして、なんと『この本自体が、ハリーポッターアトラクションのためのマーケティング施策』だったことが文庫版後書きで明かされます。

1-3.なぜ『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』出版が必要だったか

森岡さんは、ハリーポッターアトラクションが始まる時に、マスコミ取材によるPRが必須と考えます。しかし、マスコミ関係者の多くは東京におり、関西までわざわざUSJの新アトラクション取材に来てくれません。そこで、マスコミ関係者の間で話題になるような本を、アトラクションリリース日程に合わせて、逆算して出版日を決め、間に合わせるように執筆したとのこと。
さらに、この施策もあたったそうで、出版をきっかけにマスコミ関係者にUSJが認知され、結果アトラクション発表時には、多数のマスコミ取材があったとのこと。これは、すごいですね。

森岡さんの他のマーケティング本も見る気になってきました。

 

2.繋がったマーケティング施策を打ち続ける

 本書を読むとわかりますが、再建中のUSJですから、元々お金のない中ピンチの連続で森岡さんは、短期のマーケティング施策でヒットを飛ばし続けます。

しかも、3年、5年の中長期の目標を見据えたうえで、論理的に繋がった施策を打っていく、さらにほとんど全部ヒット。うーん、これはすごいです。

USJは辞めたはずですが、いまどうしてるんでしょう?

 

 

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)

 

 

hitoshi-ebihara.com