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海老原一司Blog -論理思考講師×プロジェクトファシリテーター

カオスプロジェクトのPDCAを回すコツ

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カオス状態


海老原です。

20年間新規事業中心にカオスプロジェクトのプロマネをやってきました。プロジェクトを回すには、PDCAが重要です。しかし、実際PDCAをうまく回せているプロマネはほとんどいないものです。

ましてや、不確実性の高いカオスプロジェクトは、PDCAを回すことが、さらに難しくなります。そんな、カオスプロジェクトのPDCAを回すコツについて考えてみました。

 

1.PDCAとは

1-1.PDCA

改めてPDCAとは何でしょう。

  • Plan:業務計画を作成
  • Do:計画に沿って業務実行
  • Check:業務実行が計画に沿っているか評価
  • Act:実行が計画に沿っていない部分を調べ改善

 

計画し実行する。その後実行結果をみて改善、実行することです。なお、Actionは、「改善の実行」の場合と「改善した計画(Plan)の実行」の2つのとり方がありえます。

 

1-2.PDCAサイクル

Wikipediaから「PDCAサイクル」の定義を引用します。

 

PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などで、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法です。
※Wikipediaより
 
 

ここで注意したいのは「PDCAサイクル」「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法」の2つでしょう。

つまり、PDCAは、単体のアクションではない。継続的に繰り返して改善する活動である」ということです。

 

 

2.PDCAはもう古い?

 

2-1.Pはいらない?

最近「変化の激しい今の時代、PDCAは古い。Planを作っている時間はない、まずは実行だ」といった主旨の意見をよく聞きます。「PDCAは終わった。これからはOODAだ」もほぼ同様です。

しかし、私は、プランを立てることは、絶対に重要だと思っています。PlanのないPDCAはない。ただし、Planの作り方、回し方に工夫がいると思います。

 

なお、OODAループとは、Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字をとったものです。平易にいうとわかりやすくいうと「みる」「わかる」「きめる」「うごく」という意味になります。

2-2.PlanなきPDCAサイクルは、無意味

Planの定義しだいですが、私はPlanがなければPDCAサイクルは回らない。PlanのないPDCAは意味がないと考えています。

なぜか、それは改善すべき目的・目標が曖昧だからです。

 

PDCAの基本は改善です。改善に最低限必要なのは、目的や改善指標です。あるプロジェクトがあって、PDCAを回すには、そのプロジェクトで、ある作業にかかる時間を短縮する、なにかを1日でできる回数を増やす、など何らかの改善したい指標、PDCAの判断軸が必要です。

Plan不要といっている人の多くが、このPDCAを回す改善判断軸を持たずに、「とりあえず実行」していまします。これでは、何をCheckするのか?なんの改善Actionをとるのかが、わかりません。Planの時点で最低限何をCheckし、何を改善するためのActionを取るかをイメージしておかないと、PDCAサイクルにならないのです。

 

 

3. カオスプロジェクト

 3-1. カオスプロジェクトとは

どんなプロジェクトでも大なり小なり混乱はつきものです。しかし、プロジェクトスタート前、プロジェクト定義の時点から、必然的にカオスになる種類のプロジェクトをカオスプロジェクトと呼ぶことにします。

なお、ここでは、プロジェクトマネジャーのスキル不足でカオスに陥ってしまうプロジェクトは除きます。プロジェクトマネジャースキルなどに関係なく、プロジェクトの性質上カオス状態が運命づけられているプロジェクトのことです。

 

いろいろ定義の仕方はあり得ますが、私はシンプルに「誰もやったことがないプロジェクト」をカオスプロジェクトと呼びます。

なお、「誰もやったことがない」というのは、実務的には「社内で誰もやったことがないプロジェクト」と言い換えてもよいと思います。つまり、世界で誰かがやったことがある場合でも、相当整理されたノウハウが入手できない限りは、カオスプロジェクトになると思います。

 

 3-2. カオスプロジェクトの特徴

 カオスプロジェクトとは「誰もやったことがないプロジェクト」であると定義しました。例えば、わかりやすいのは「新規事業プロジェクト」でしょう。他にも業務改革プロジェクト、などが考えられそうです。

 カオスプロジェクトの特徴は何でしょう。私はカオスプロジェクトの最大の特徴は「プランが立てにくいこと」だと思います。プロジェクトスタート時点のプランがある程度ずれるのは当然です。しかし、カオスプロジェクトでは、あるタスクのボリューム・実行期間を読み誤るだけでなく、そもそもタスク存在自体を見誤ることが多いです。つまり、プラン時のタスク漏れリスクが非常に大きいのがカオスプロジェクトです。

 

 3-3. カオスプロジェクトのPDCA

 カオスプロジェクトの特徴は下記でした。

  • 誰もやったことがないためにプランが立てにくい
  • プランを立てたとしても、タスク漏れリスクが非常に大きい。

PDCAを考える上で、注目したいのは「プランが立てにくい」こと。「プランが立てられない」ではありません。プランが立てられるが非常に難しいのか、そもそもプランを立てられないのか、は大きな違いです。

プランを立てられないのであれば、当然PDCAにPlanはありません。しかし、プランを立てるのが非常に難しいときに、それでもプランを立てるか、あるいはプランを立てない手法をとるか。

私は、カオスプロジェクトにおいてもPDCAは有効という立場です。ただし、カオスプロジェクトならではのPDCAを回すためのコツはあると思います。

 

 

 

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