海老原の論理思考講師Blog

海老原一司Blog -論理思考講師×プロジェクトファシリテーター

『情報検索力』を論理的に考察してみる

理工学修士兼MBA。IT業界歴15年、コンサルタント歴6年。Googleなどの「検索」は比較的使いこなしている方だと思います。

そんな私が、今回は「検索力」について考えてみたいと思います。

 

■1.検索力とは


■「検索力」を考えるきっかけ


「検索力」とは、何か?
私がイメージしているのは、「Google、Yahoo!の検索エンジンの性能はどっちがよい?」といった話ではなく、検索を行う各個人の「検索を使いこなす能力」「情報を探し出す能力」のことです。
一方、今回は、とりあえず「本や論文をどう読みこなすか」といった、「調査力」までは踏み込まないことにします。


私が、検索力について考えたのは、以下のようなことを頻繁に経験したからでした。

[後輩]「この商品の仕様がわからないですけど、知りませんか?」
[私 ]「え?調べたの?」
[後輩]「昨日から調べてるんですけどみつからないんですよ」
[私 ] ???
     Googleで検索開始10秒後、、、
    「ここに載っているけど。これじゃない?」
[後輩]「あっ。。。これ、ですね。。(汗)」

二人の違いは何でしょうか?
これが、「検索力の差」ではないかと思っています。


■検索力による情報格差
今は、世界中のありとあらゆる情報がインターネット上にあふれています。
そして、Googleをはじめとする高性能の検索エンジン。
これらから、人々の情報格差はなくなると言われています。

しかし、果たして本当にそうなのか?誰でも平等に情報を得ることができるのか?
というのが、私の疑問です。

確かに、住んでいる地域の違い、地位の違いなどによる、これまでの情報格差はなくなりました。
しかし、あまりにも入手可能が情報が多いため、適切な情報にたどり着ける人とたどり着けない人がいる。
「たどり着ける可能性がある」のと「実際にたどり着ける」=「情報を入手できる」のは異なる。
つまり、「(各個人の)検索力による情報格差」があるのではないかと考えています。


■検索力の価値
ちなみにこういう話をすると、安易に検索に頼ることの弊害を強調する人がよくいます。
「知識より思考力が大事だ」と。
もちろんそういう面もありますが、すべては使い方しだい、
道具に善悪はなく、それを決めるのは使う人である、と思っています。

しかも、そもそも、知識or思考の二律背反ではなく、知識(or情報)と思考の両方を狙っている
私には、知識か思考かの選択というのは意味のない議論です(笑)

もちろん、確かに検索にあまり頼らないほうがよい場面もあるでしょう。
特に思考のプロセスが重要な場合、一足飛びに回答に飛びつくのは危険です。


しかし、プロセスはよいから結果だけ手早く知りたい場合も多々あります。

私が関わっているITの分野だと、「この機器とこのソフトウェアの組み合わせで不具合がでた。
回避方法はこれ」というような情報は、結果だけ手早く知りたいところ。
そうでないといつまでたっても終わりません。
こういう情報は、「検索力」の差が如実に現れるところです。
1ヶ月間解決しなかった問題が、検索力のある人が探したら、1時間で分かった、なんてことも
しばしばあります。

こういった、結果・事実情報に手早くたどり着きたいとき「検索力」は強力な武器となります。

 

 

さて、以上のように、まず今回は、検索力とは何か?なぜ、検索力を考える必要があるのか?
について考えてみました。
次回は、検索するための力とは何なのか?検索力の構成要素について考えてみたいと思います。

 

■2.検索力を要素分解してみる

私が考える検索力とは、、、
 【検索力】=【仮説力(&想像力)】×【速読力】×【知識(力)】×【情報判断力】
ではないかと思っています。

■検索力の分解した要素それぞれについて考える
以下それぞれの要素について考えてみます。

●1.仮説力及び想像力
検索するときのステップは大体こんな感じだと思います。
0)まず、ネットで調べられそうな情報か(調べるべきか)判断する
1)とりあえず、関連しそうな単語を適当に入れてみる
2)検索結果を見ながら、ワードを調整
 単語を変える。2語にしてみる。など
3)当たりそうなWebがあれば、さっとみてみる。
4)(そこで情報があれば終了だが)Webをみた結果をみてワードを調整

これらは、まさに仮説・検証サイクル。
このサイクルをいかに高速にできるかが勝負となります。
一般的な課題解決でも、仮説検証を何回も回すことが推奨されますが、Webの
場合は、短いときは、 慣れた人なら、最短で5秒ぐらいで1サイクルでしょう。
つまり、ここで必要な「仮説力」とは、ざくっとでよいので、高速で仮説を出し瞬時
に判断できる能力です。

ここで、私が結構重要と思うのが、「想像力」です。
Web検索は、求めるWebページがどのようなワードで記述されているかの読みの勝
負。いかに、そのページに載っていて、他のページに載っていない単語(の組み
合わせ)を見つけるか。
ここには、記述内容を予想する「想像力」が求められます。
(ロジカルシンキングにも近いかも)

●2.速読力
次に、「速読力」。これは、やはり早ければ早いほどベターです。
特に、先ほど述べたように、検索を高速で何度も繰り返すために、「ぱっと見」で、情報の善し悪しの有無を判断する能力が求められます。

●3.知識(力)
あまり強調されることはありませんが、個人的に実は重要だと思っているのが「知識」。
検索技術普及=知識不要、という論調もありますが、探したい分野の基本を押さえているかどうかで、検索できるスピード・深さは、格段に変わります。

イメージ的には、「自分の知識という円」を思い描いてみましょう。
円の中が「知識あり」、円の外が「知識なし」。
自分が効率よく調べられる範囲は、円の周辺付近まで。元の円が大きければ大きいほど、調べられる範囲は広がります。

あとは、もちろん完全に未知の分野を調べることもあるので、そのとき持っている知識だけでなく、調べながら高速に 知識をつける力(例えば、この分野では、このワードを使うのね、とか)も必要 になってきます。

●4.情報判断力


最後に必要なのが、見つけた情報を判断する能力です。
インターネットの情報はまさに玉石混淆。
プロフェッショナルから素人まで、様々な人が情報発信しています。
そして、多くの無駄な情報が存在し、時には間違った情報さえあります。
これらを、取捨選択、真偽を判断し、情報を取り込まなければいけません。

ちなみに、私が考える情報判断するための指針は、大きく3つあります
1)事実と意見を分ける
 読み物系は別として、情報として入手する場合は、特にネットの場合は、「事実」
 と「意見」を明確に切り分けなければいけません。文章によっては、「事実のように
 書いてある、思いこみの意見」もあるので、要注意ですね(笑)
 私の場合は、場合にもよりますが、「意見」は単に「とある1名の人がそ
 ういう意見をいっていたという『事実』」として、頭に入れています。
2)情報ソース、根拠を当たる
 書いている人や中身にもよりますが、曖昧な情報の場合は、その根拠、情報ソースをさらにチェックします。
 例えば、IT業界では、「FBIの調査によると、情報漏えいの80%(時には、70%とか、91%とか)は内部犯行である」という「都市伝説」があります。
 「FBI」の調査と言われるとみんな納得してしまいそう(笑)
 しかし、たいていのプレゼン資料では、「FBI」以上の細かい出展は明らかに されない。というか、みんな他の人がいったのを2次利用しているだけで、実 際は調べていないと思われます(笑)
 私もちょっと気になって調べたことがあるのですが、FBIはそこまでは断定していないというのが定説となっています。
 http://it.nikkei.co.jp/business/netjihyo/index.aspx?n=MMITs2475026122002
3)ダブルチェックする
 そもそも出展がない情報もあります。「この製品使ってみたら私はこうでした」っという類の個人の情報です。これは、事実と根拠をチェックするのも必要ですが、必要ならダブルチェックするしかないでしょう。要は、他の人はどうかを再検索することによって、精度を高める。時には、ダブルチェック、トリプルチェックをします。

 


【検索力】=【仮説力(&想像力)】×【速読力】×【知識(力)】×【情報判断力】
以上、「検索力」について考えてみました!

 

 

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