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海老原一司Blog -論理思考講師×プロジェクトファシリテーター

【書評】『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 』USJ再建の立役者森岡さん

 

1.実践マーケター森岡さんのUSJ再建奮闘記

 

1-1.もはや神の領域のマーケター森岡さん

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』は、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の再建に貢献した凄腕マーケター森岡さんの本です。
森岡さんはUSJで、当たり外れのブレが、かなり大きいと思われるテーマパークのイベントやコースター改良などのマーケティング施策を、9割以上の確率でヒットを飛ばしたとのこと。もう神の領域です。

 

1-2.後書きがしびれる。この本自体がUSJのマーケティング施策だった

そして、文庫版だけにある後書きがしびれます。


『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 』は、企業再生物語、マーケター奮闘記という色合いが強い本です。

本書の中で繰り返し出てくるのが、再建中の会社もかかわらず、USJ年間売上の半分という巨額設備投資を突っ込んだ「ハリーポーターのアトラクション」の話です。
ヒットを確信したハリーポッターのアトラクション完成まで2年強あります。ハリーポッター設備投資に回すため2年間は、ろくにアトラクションへの投資もできない。どうやって金のない中ヒットイベントを飛ばし続けるかという森岡さんの奮闘記なわけです。

そして、なんと『この本自体が、ハリーポッターアトラクションのためのマーケティング施策』だったことが文庫版後書きで明かされます。

1-3.なぜ『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』出版が必要だったか

森岡さんは、ハリーポッターアトラクションが始まる時に、マスコミ取材によるPRが必須と考えます。しかし、マスコミ関係者の多くは東京におり、関西までわざわざUSJの新アトラクション取材に来てくれません。そこで、マスコミ関係者の間で話題になるような本を、アトラクションリリース日程に合わせて、逆算して出版日を決め、間に合わせるように執筆したとのこと。
さらに、この施策もあたったそうで、出版をきっかけにマスコミ関係者にUSJが認知され、結果アトラクション発表時には、多数のマスコミ取材があったとのこと。これは、すごいですね。

森岡さんの他のマーケティング本も見る気になってきました。

 

2.繋がったマーケティング施策を打ち続ける

 本書を読むとわかりますが、再建中のUSJですから、元々お金のない中ピンチの連続で森岡さんは、短期のマーケティング施策でヒットを飛ばし続けます。

しかも、3年、5年の中長期の目標を見据えたうえで、論理的に繋がった施策を打っていく、さらにほとんど全部ヒット。うーん、これはすごいです。

USJは辞めたはずですが、いまどうしてるんでしょう?

 

 

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)

 

 

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