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海老原一司Blog -論理思考講師×プロジェクトファシリテーター

【理系の書評】『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~』

『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~』★3.5

 

1.マニアな世界の研究者の私の履歴書的な本

三谷さんの戦略読書を読んで依頼最近自分の中で流行のサイエンス系本。
 
ここ最近読んでいた「大絶滅」「生物はなぜ誕生したのか」などの本は、大著という感じで、すごい大きな生物学の流れ、進化の流れをまとめるという本でした。
その本に比べると今回の『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~』はかなり軽め、厳密な科学的説明もなく(著者に失礼か)、「マニアックな領域の研究者が書いた『私の履歴書』という感が強い。
 

2.サイエンスの発展は理論的でも計画的でもない

最後の章の解釈がちょっと面白い。
普通研究者は、「仮説を考え、実験の目的を明確にし、そして周到に手段を用意して、検証し新しい発見を行う」という流れを踏む。
著者ももちろん、そのつもりで行動しているのだが、南極のペンギンにデータ収集の機械をつけて、2週間後に発見してデータとってという、ビジネスでいうPDCAがほとんど回せない世界のこと。
思い通りの結果がでない。
で、著者が発見したことの多くは、当初の実験目的は達成できないところから発見されています。
実験失敗したが、このままでは終われない(著者の場合南極までいって1年半とか研究してますので)と、せっかくデータを目を皿のようにして、当初目的と関係ない新しい発見をする。
 
どっちかと言えば気合いと根性、偶然の世界ですね。
 
最近のサイエンス本をみると、治部は科学とは、理論的・計画的ではなく、研究者の個人的思い入れや偶然の上に多くの重大発見がなされていることがわかります。
 

 

 

ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書)

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