ソリューション営業のためのニーズヒアリングノウハウ
営業ヒアリング研修講師の海老原です。
ニーズヒアリング技術について、まとめていきます。少しずつ書き足していく予定です。
(2019/12/29現在)
1.ソリューション営業のニーズヒアリング
「御用聞き営業ではダメだ。ソリューション営業が必要だ」と言われます。ソリューション営業で最も重要なスキルの一つがニーズヒアリングです。
1-1.ソリューション営業のキモはニーズ把握
ソリューション営業とはなんでしょうか。「問題解決型の営業」「課題解決型の営業」という定義がシンプルな定義です。
ソリューション営業の商談ステップは、大きく分けると、顧客の問題、顧客課題を把握する「ニーズヒアリングフェーズ」。解決策を提案する「ソリューション提案フェーズ」の2つです。
特にソリューション営業にとって重要なのは、どちらでしょうか? 私は、ニーズヒアリングフェーズが重要と考えています。モノが溢れている現代、ソリューションの内容で強みを出すことは、ますます難しくなりつつあります。また、ソリューション営業はチーム営業です。つまり、営業は極端な話、ニーズヒアリングで課題把握さえできればOK。良い課題さえ発見できれば、解決策は他の人が考えてもよいのです。
営業とセールスエンジニアの関係を考えるとわかりやすいでしょう、
1-2.ニーズを掴めなければ営業はAIに代替される
これからのAI時代に残る職種、無くなる職種は何か、と議論されています。営業という職種はどうでしょうか。
まず、特にBtoB営業において、ヒューマンスキルである顧客とリレーションとる機能は残るでしょう。いわゆる御用聞き営業のような、単に顧客要望を聴くだけの営業スタイルは、すでに価値がなくなってきています。
さらに、これからのAI時代では、既存ツールを組み合わせて解決するだけの、狭い意味のソリューションは価値がなくなってくると思います。過去に解決策があれば、AIは人間以上の正確さで適切なソリューションを提供してくれるはずです。
とすると、残るは課題設定、問題発見機能です。顧客の課題設定、問題発見を助けるために、必要なのが、ニーズヒアリング力です。
突き詰めれば、営業に必要なスキルは「ヒューマンスキル」と「ニーズヒアリング力」の2つに集約されるのではないでしょうか。
2.そもそもニーズとは(What)
ニーズヒアリングを考える上で、まずニーズとは何でしょうか。ニーズとウォンツの違い、BtoBのニーズについて考えます。
2-1.ニーズとは ーニーズとウォンツ
ニーズと関連する言葉で、ウォンツがあります。
前職のシナプスでは、ニーズは目的、ウォンツは手段と整理していました。例えば「腕時計がほしい」というウォンツを考えてみましょう。
「腕時計がほしい」というウォンツ(手段)に対するニーズ(目的)は、なんでしょうか。例えば、「時間を正確に知ることで、約束の時間に遅れたくない」というニーズ(目的)がありそうです。あるいは、情緒面に着目して「かっこいい腕時計がほしい。かっこよく見られたい」というニーズ(目的)も考えられます。
また、BtoB営業におけるニーズとは、相手が企業になりますので、企業目的や解決すべき企業課題ということになるでしょう。
2-2.人はまずニーズよりウォンツに注目する
人はまずニーズよりウォンツに注目します。答えはシンプルで、「ウォンツ/手段の方がニーズ/目的よりイメージしやすいから」です。
先ほどの腕時計の例では、腕時計というウォンツ、手段は、とても具体的でイメージしやすいモノです。しかし、「約束の時間に遅れたくない」というニーズ、目的は、抽象的で頭に描くことが困難です。もちろん、一度は目的を思い浮かべるでしょう。しかし、手段を考えているうちに、当初描いた目的は、どんどん薄れていくものです。よく手段が目的化している、と言われるのは、このことです。
そのため、意外と自分自身でもニーズはわからないものです。ニーズを発掘し、明確な形に整理することは、顧客にとって価値があります。顧客のニーズを把握する、顧客がニーズを明確にすることを助けるのがソリューション営業です。
2-3.BtoBのニーズは経済合理性で決まる
BtoB営業では、購入者は法人企業です。つまり、把握すべきニーズは、個人ニーズではなく組織ニーズです。この個人ニーズと組織ニーズの区別が重要です。
法人企業での判断軸は、基本は経済合理性です。経済合理性とは、突き詰めれば費用対効果、「購買意思決定したとき、課題解決のリターン額が、購買代金より大きいか」で決まります。
3.ニーズヒアリングとは(What)
ニーズとは何か、の次はニーズヒアリングです。ニーズヒアリングの基礎について説明します。
3-1.顧客の課題を見つける
ニーズヒアリングとは、言い換えれば「顧客の課題を見つけること」です。課題をみつけ、その顧客課題を解決するのがソリューション営業です。
顧客ニーズを理解するための5つの質問(ジョブ理論より)
「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・クリステンセンの「ジョブ理論」にて、「顧客ニーズを理解するための5つの質問」というのがあります。下記の5つです。
- その人が成し遂げようとしている進歩はなにか。求めている進歩の機能的、社会的、感情的側面はどのようなものか。
- 苦労している状況は何か。誰がいつどこで何をしているときか。
- 進歩を成し遂げるのを阻む障害物は何か。
- 不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。
- その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、またその解決策のために引き換え(トレードオフ)にしてもいいと思うものはなにか。
3-2.課題を構造化する
一口に課題といってもいろいろな課題があります。課題整理し構造化することが必要です。
企業においては、課題を構造化・見える化し組織共有する必要があります。
3-3.勝てるニーズを見つける
3-4.儲かるニーズを見つける
3-5.ニーズの優先順位をつける
ニーズの強さは、課題解決の期待値で表されます。
課題解決による効果額の大きさ × 実現確度
ニーズを把握する方法
4.ニーズの強さを見極める
ニーズの強さは、ニーズヒアリングの論点の一つが「そのニーズはあるか?」です。しかし、それ以上に重要な論点は「そのニーズは強いか? ニーズの強さはどのくらいか?」です。
4-1.ニーズ有無だけわかってもヒアリング失敗
ニーズヒアリング初級者にありがちなミスに、「ニーズがあるか/ないか?の確認だけして、ニーズの強さの確認が甘いこと」があります。
なぜか。企業は課題の宝庫、そして人の欲求は無限です。「もっと安くしてほしい」「もっと早くしてほしい」と、どちらかと言えばそうしてほしい。という課題は、無限にあります。
無限にある顧客の課題・要望に応えてもらちがあきません。では、どうするか。有無だけでなく、どのくらい強いのか?を考えることです。
4-2.ニーズ選択で重要なのはニーズの強さ
ニーズの強さは、課題解決の期待値で表される
課題解決による効果額の大きさ × 実現確率
5.ニーズヒアリングのやり方(How)
5-1.営業ヒアリングの基本
5-2.ニーズヒアリングのスキル
5-3.ニーズヒアリングは仮説検証
ニーズ仮説を検証する作業がニーズヒアリングである。
6.意思決定構造を掴む DMUマップ
6-1.DMUマップとは
6-2.マンション管理組合のDMUマップ事例
東邦レオで使っているマンション組合DMUマップ事例
7.買い手の論理とは、購買稟議の意思決定構造
7-1.受注とは顧客の稟議書決済がおりること
稟議書とは、企業が組織的、合理的意思決定を行うための仕組み。
7-2.RFP(要求仕様書)を出す
RFP